「う~に~の軌跡」は、う~に~の16年3ヶ月の犬生の記録なので、
う~に~の身に起きたことは、なるべく漏らさず書くようにしました。
旅行だけでなく、病気や怪我で通院、治療したことは、大したことではなくても
書いておきました。
後でなにかの参考になるかも知れないからね。
ところが、一つだけ書かなかったことがあります。
それは、股関節のことです。
う~に~は若い頃に、3回股関節のレントゲンを撮りました。
それをその年毎に書くよりも、まとめてひとつの項目として書いた方がよいのではと
思い、あえて外しておいたのです。
それでは、「う~に~の軌跡・番外編」、だらだらと長いです(笑)。
最初のレントゲン(無麻酔)
う~に~が初めて股関節のレントゲンを撮ったのは、生後7ヶ月の時。
特に歩き方がおかしかったり、痛みがあったりしたわけではありません。
う~に~のかかりつけの病院の院長は、大型犬の股関節に関していち早く
問題提起してきた人物で、当時その筋では有名な人だったのです。
そういう病院だったので、
「まあ一応撮っておくか」という軽い気持ちでレントゲンを撮りました。
う~に~の主治医も、
「この子の歩き方を見る限りでは、問題はなさそうな感じですが」
と言っていました。だけどこれは、撮ってみないとわかりません。
この時は麻酔なしで行いました。
撮ってみたら、右側の股関節が若干緩かったのです。
大腿骨頭、寛骨臼の変形はありませんでした。
主治医が言うには、そんなにひどいものではない。
当時は股関節の問題を知らない人も多く、みなレントゲンを撮らないけど、
撮ってみたら、これより悪いゴールデンはたくさんいるだろうという程度のもの。
という見解でした。
骨の形がきれいだったので、もしかして、うちに来てからの飼いかたが悪くて、
脱臼させてしまったのではとも思いました。
ジャンプや階段には気をつけていたけれど、う~に~が興奮して狭い部屋中を
ぐるぐる駆け回ったり、急停止するのを、なかなか抑えることができなかったからです。
子犬のうちは引き運動ではなく自由運動がいいと言うけど、そういう環境を与える
ことができませんでした。
後天的なものだったら申し訳ないことをしてしまったけど、もう取り返しがつきません。
主治医は大したことないと言ったけど、院長に言われた運動のさせ方は、
たいへん厳しいものでした。
運動は、直線を速足で1回15分。それを1日4回。
最初はそれを守ろうとしました。
でも7ヶ月のゴルが、そんな生活できるずありません。
パワーを持て余したう~に~は、家の中を走り回るし、飛びついて私の袖口を
ガブガブ噛んで散歩にならないし。
第一、遊びの中でコミュニケーションをとりつつ訓練をするつもりだったのが、
全然できません。
ちょうど自我の目覚めるお年頃。う~に~は自分の力を試そうとするところもあって、
私はちょっとした育児ノイローゼになってしまいました(笑)。
少し経って、レントゲン写真をブリーダーに見せました。
う~に~の歩き方も見てもらいました。
ブリーダーは写真を見て、大したことはないと言いました。
そして、「一生支障なく歩けるよ」と言い切りました。
まあ普通に考えれば、犬を売った方としては、みんなそう言いますよね(笑)。
もしも私が、ペットショップとか、よく知らないブリーダーから犬を買ったのなら、
そんな言葉は信用しなかったでしょう。
でも私は、ブリーダーの言うことを信じました。
何故なら、う~に~のブリーダーとは、犬を飼うと決める前からの知り合いで、
そこの犬もブリーダーの人柄も知っているから。
そしてブリーダーの家にいる犬と、売られた犬の中で、私の知る限りでは、
手術したり歩けなくなった犬は、1頭もいませんでした。
ブリーダーは、普通の生活をしていいと言いました。
たとえば階段から落ちたり、滑ったりしないように気をつけないといけないけれど、
ボール投げなどは、やってもかまわないと言われたのでした。
私は安堵して、院長の言うことは聞かないことに決めました
でも、だからと言って気にしなかったわけではありません。
運動させ過ぎないよう(もともとゴルは身体ができるのに2年くらいかかると
言われているから、やりすぎは厳禁)、股関節に負担をかけないよう、
注意して運動させました。
たぶん他人から見たら、とても神経質だったと思います。
2人で散歩に行くときには、片方が後方から歩いて、う~に~の歩き方や
腰の振り方を注意深く観察しました。
ダンナは股関節のことを勉強してオタクみたいになっていました(笑)。
注意しながらも、ボール投げやフリスビーなどもやりました。
目標を作ってしまうと、私の方がのめりこんで、やり過ぎる心配があったから、
競技会等は目指しませんでした。
フリスビーは、空中でジャンピングキャッチするのがよしとされていますが、
う~に~には、走りながら取れるように、低く投げる練習をしました。
急停止をしないように、ボール投げではなく、オモチャを隠して探させる遊びも、
よくやりました。
ブリーダーの家には毎月泊まりに行っていたので、その度に歩き方に異常がないか
チェックしてもらっていました。
う~に~は痛がることもなく、成長していきました。
2度目のレントゲン(PennHip)
1歳5ヶ月の時、全身麻酔でペンヒップ用の写真を撮りました。
かかりつけの病院では、OFAよりペンヒップの方を勧めていたのです。
OFAは1枚の写真を専門医が見て判断するものであるのに対し、ペンヒップは、
認定医が撮った3枚の写真をペンシルバニア大学に送って、関節の緩みを数値で
表すものです。
OFAよりも客観的で、精度が高いといえます。
また、変形性関節炎が生じているかどうかも判断します。
ペンヒップの結果は、やはり右の股関節に緩みがあり、左も右ほどではないが
緩みが見られました。
骨の変形と炎症は認められませんでした。
このレントゲンを撮った後も、気をつけながら生活するというのは同じで、
治療などはしていません。
関節のサプリメントを飲んでいたくらいです。
3度目のレントゲン(全身麻酔)
次にレントゲンを撮ったのは、3歳10ヶ月の時です。
避妊手術をすることになり、全身麻酔をするので、ついでに股関節のレントゲンも
撮ってもらいました。
できた写真を見て、主治医が説明をしようとしている時です。
院長が通りかかり、こう言いました。
「いいね~、これ。誰の股関節?OFAならGOODがもらえるよ」
ええ~?院長、3年前に、すごくキビシイこと言いましたけど
たしかにこの写真では、全然問題なく、きれいにはまって見えたのです。
最初に撮った写真がこれだったら、「股関節は問題なし」という判断が下され、
ペンヒップは撮っていなかったかも知れません。
そしてう~に~は大丈夫だと過信して、無茶なことをしてしまったかも知れません。
そう考えると、ペンヒップ撮っておいてよかったな~と思います。
このレントゲンを撮って安心したけれど、ぺンヒップの診断では、緩みが数値に
表れているので、用心するに越したことはないのです。
でも注意は続けていたものの、やはり多少気が大きくなりまして(笑)。
これ以降は、フリスビーやアジリティのハードルなどもけっこうやっていたし、
山歩きで急な斜面を上り下りしていました。
身体が出来上がる途上の若い時期には運動をセーブして、充実していた4~7歳
の時に思いっきり身体を動かせたことは、結果的によかったと思います。

これは投げ方を失敗して、ジャンプさせてしまったところです。
う~に~5歳のころ。北海道です。
その後はずっとレントゲンも撮らずにいました。
歩き方も問題なく、痛がることもありませんでした。
再び撮ったのは10歳過ぎてから。
ドッグドックを受ける時、オプションで撮ってもらいました。
これはもちろん無麻酔です。
7年ぶりくらいに撮った結果は、3歳10ヶ月の時と変わりませんでした。
進行もしていないし、関節の変形も炎症もなしでした。
それからは、毎年ドックの度に撮りました。
14歳まで著しい変化はありませんでした。
でも15歳の時には、股関節だけでなく、胸椎にもブリッジがあったし、関節炎も
見られました。
筋肉もごっそり落ちていました。
しかしこれらは形成不全ではなく、加齢によるものなので、どうしようもありません。
う~に~が16歳過ぎまで歩いていたことは、読者の皆様は既にご存知かと
思います。
ブリーダーが言ったとおり、う~に~は一生支障なく歩きました。
もうすぐ16歳2ヶ月、しっかり歩いてます・・・2010.8.14
若い頃レントゲンを撮ったことと、院長に厳しく言われたことは、よかったと
思っています。
言いつけは守らなかったけど(笑)。
う~に~とは楽しみながらも、常に注意を払って生活してきました。
本心では、気にしすぎじゃないの?と思うこともあったし、レントゲンも撮らず、
何も気にしないでいても、結果は同じだったかも知れないけど・・・
だけど先に知っていれば予防できたのに、知らなかったために痛い目にあわせて
しまったとしたら、自分の無知と怠慢を激しく後悔すると思います。
今では遺伝性疾患のことも広く知られるようになり、ドッグスポーツも普及しました
から、私が今さら言うまでもなく、股関節のみならず肘関節や諸々の検査もして
おられる方が多いかと思います。
「うちはアジリティーもディスクも、ブリーディングもしないから関係ないわ」
という方も、若いうちに検査をしておくことを、私はおススメします。
う~に~が若い頃には、何の治療もできなかった種類の癌も、今では早期発見が
できることも多くなり、抗癌剤や難しい手術ができるようになってきました。
大型犬の寿命は確実に延びていると思います。
15年前後の使用に身体が耐えられるように、若い時から、犬の身体の状態を
知っておき、ケアしていくことが重要ではないかと思うのです。
15歳でもこんなに走れるよ・・・2009.6.27
これで本当に終わります。
番外編はもうありません(笑)
皆様の大切な犬さん猫さんが、すこやかに長生きしますように。
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